食事療法

糖尿病の食事療法

 糖尿病治療の基本となるのが、食事療法です。食事療法の目的は、糖質やカロリーの摂りすぎを是正することです。「なぜ血糖値は上昇するのか?」でも説明しましたが、糖は食事が消化吸収されることで、体に供給されます。糖尿病の方は、インスリン分泌の低下やインスリン抵抗性により、糖を処理する能力に限界があります。食事をつうじて、あまりに過剰な糖が体に入ってくると、糖の貯蔵が間に合わないため血糖値が上昇します。過剰な糖の摂取を控えれば血糖値が下がりやすくなります。
 そして、食事療法でカロリーの摂りすぎを是正し、肥満を解消することもとても重要です。肥満に伴う内臓脂肪の蓄積は、インスリン抵抗性を増やすことがわかっています。肥満の方は脂肪が減ると、インスリンがより効きやすい体質になるため、薬を増やさなくても血糖値が下がります。
 食事療法は糖尿病治療の基本ではありますが、対処が難しい治療法でもあります。栄養は、炭水化物(糖質)、たんぱく質、脂質の3大栄養素に分けられます。一般的な糖尿病食では、3大栄養素をバランスよく、過剰にならないように摂取することが推奨されています。炭水化物、たんぱく質、脂質は体を維持するために、どれも大事な栄養素ですので、なにかを極端に制限する方法は、長続きしないようです。病院で提供される糖尿病食は一つの理想形ではありますが、食習慣は人それぞれの部分もありますので、完璧な食事を目指すのではなく、できるところから取り入れるとよいかもしれません。