甲状腺疾患の解説

バセドウ病

 バセドウ病は、甲状腺機能亢進症の代表的な病気です。甲状腺は、脳(正確には脳下垂体)から分泌されるTSHというホルモンの刺激を受けて、甲状腺ホルモンを分泌します。甲状腺においてTSHを受け取る場所がTHS受容体です。バセドウ病では、病的な自己抗体がTSH受容体に結合することでTSH受容体が誤作動をおこし、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されます。症状としては、動悸、発汗過多、体重減少、指のふるえなどです。また、前述の症状に加えて、下痢などの消化器症状、むくみ、精神症状などを認める場合は重症化のサインの可能性があり、すみやかな対処が求められます。
 代表的な治療薬は、メルカゾール、プロパジール、ヨウ化カリウムです。また、頻脈が体の負担となっている場合には、脈拍をゆっくりにする薬を服用することがあります。治療開始後、多くの方は、2~3週間程度で症状がやわらぐのを実感できると思います。甲状腺ホルモン値を確認しながら徐々に減薬していきますが、薬を完全に中止するまでに2~3年程度かかることは一般的です。ただし、薬を完全に中止するとバセドウ病が再燃することがあり、少量の薬を長い期間にわたり服用する方もいます。
 副作用の問題で飲み薬の継続が困難となったり、再燃を繰り返す場合には、放射線治療(内照射療法)や甲状腺摘出術などの積極的な治療が必要となります。そのような場合は、甲状腺治療に精通する高次医療機関へ紹介いたします。